2013年09月23日

JR北海道脱線事故

 大沼駅で発生した脱線事故の原因が究明されてきた。
 最初は原因はなんだろうかと疑問だった。
 走行中のポイントの誤作動とか、とんでもないあり得ない原因なのかとも想像した。
 ポイント上を列車が通過しているときは完全にロックされていて誤作動は絶対にしないようになっている。

 しかし、原因は、別の意味とんでもない、お粗末なものだった。
 線路の幅を点検して、不備がわかっていながら、それを長期間放置したためだったとは。

 レール間の間隔の誤差が19ミリまで許されているとは知らなかった。
 レールの幅は1067ミリだから、2%まで広がっていてもいいということだ。
 ということは片方で1センチ、これって結構なズレだと思う。
 レール幅が狭くなれば車輪のフランジに当たって、乗り上げ脱線するだろうし、広まれば当然、車輪がレールから落ちる。
 このレール幅の精度保持は安全走行の基本だろう。
 PC枕木なら車両走行の圧力が繰り返されても、線路幅が変わることは少ないと思う。
 しかし、ポイント部は木製枕木が基本だから、保守点検は重要なはずだ。

 こんな事故になるまで放置したJR北海道は情けないが、現場の状況はどうなのだろうか。
 マスコミは、コスト削減で、人員と予算を削った結果ではないかとも言っているようだが、そういう単純な大きな問題とは違うようだ。
 現実にJR化後に、JR北海道としてはそういう人員はかなり削減しているらしい。
 しかし、私が疑うのは、JR本体の関与が限りなく低くなってきたことが原因ではないかと思う。
 
 保線作業にJRの正社員はどの程度関わっているのか。保線作業自体を計画から立案、保守工事までを小会社、関連会社にまる投げしているのではないかと疑ってしまう。
 情報伝達ができていなかったと言っているが、もともと線路の維持管理に本体のJR北海道が関わっていないのではとも疑ってしまう。地区ごとに不備の数も違うという。保線作業を請け負っている会社の能力差なのではないか。

 最近は保線作業用の車両もJRの所有ではなく、保線作業を請け負う会社の所有物らしき車両も見かける。
 マルタイなどの横に、保線作業を請け負う会社名がしっかりと書かれているのだ。あれも、点検から保守工事までの保線作業の相当の部分を専門会社にシフトさせている証拠だと思う。保守車両までもがJR本体は所有せずに、関連会社に持たせてコスト削減みたいな。
 そういう安全の根幹にあたる部分を、本体のJRから別会社にやらせることで、コストを削減しているのではないか。

 今回の事故原因となった点検後の作業不備そのものは、予算の問題でも人員の問題で手が回らなかったのでもなんでもなくて、ただの作業忘れ、伝達ミス、補修工事漏れみたいだ。
 判明してからたった3日で、判明した全不備箇所の整備が完了したという。これこそ、今までやろうと思えば、気がつけばいつでもできた工事だったという、決して人員不足や予算がなかったなどという経営の根幹部分が原因ではなかったという、お粗末さの証明だろう。

 本線部はしっかり点検していたが、副本線部は忘れていたとか、どうもウソくさい言い訳に聞こえてくる。
 経営方針を根本から見直した方が良いのでは。
 特急用気動車が火を噴いたり、エンジンが壊れたり、車両整備のお粗末さも際だってきている。
 直営作業が減って、車両整備から保線までなんでもかんでも関連会社任せにして、JR本体の技術力が落ちていることが根本原因ではないのか。正社員を減らすために安全保守部分まで切り離すことは許されない。窓口や駅ナカの商売とは違うのだから。

 前回の脱線は大雨による路盤の洗掘が原因だから仕方ないが、脱線事故が突出して多すぎる。
 しかも、JR貨物のフレートライナー、コンテナばかりが被害者である。
 民間企業が鉄道貨物を信用しなくなり、これ以上トラック輸送が増えることは看過できない。
 自社の気動車特急が130キロ走行中に脱線転覆して死者が出る前に、改善してほしい。

 JR北海道さん、車両は火を噴くし、ATSを壊すバカ社員はいるし、貨物が脱線した今回のお粗末保線作業も判明して、とても公共交通を担う大企業とは思えません。経営が苦しくても安全第一にがんばっている地方の中小私鉄を見習って、直営作業をもっと重視してください。

 鉄道の安全性、信頼性を脅かすことは許せません。
 


Posted by よっぱらいくま at 15:42│Comments(1)TrackBack(0)事故・災害

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パソコンの勉強も兼ねて、卒論を編集し直しています。国鉄の分割民営について、いろいろ思うところを書いています。11月にお会いする時に、印刷して持っていきます。ご意見お聞かせください。
Posted by さよなら「ながさき号」門司港行 at 2013年10月03日 23:29