2014年07月26日

新幹線の排障器の変遷 新幹線が人をはねたら

 物騒な題名でごめんなさい。
 この前豊橋駅で、猛スピードで通過する新幹線をぼーと眺めていて、新幹線が自殺者とか轢いたとかって、あまりニュースにならないなあとか思っていました。ひと頃は、東京の中央線とかは毎日のように飛び込み自殺があって、ダイヤ通りに走っていることが少ないとかなんとかですが。
 新幹線の先頭形状ですが、0系、100系は先頭下部には青い排障器、いわゆるスカートがあって、前方の障害物は吹き飛ばすという設計思想だったと思います。

 この前リニア鉄道館へ行ったときに歴代新幹線の足回りの写真とかも撮ったので、それで説明。
 こんな間近で新幹線車両を撮影できる機会はないのでちょうどよかったです。

 元祖0系のスカートとレール面すれすれの排障器部分。




この鉄板を何枚も重ねた頑丈なスカートとレール踏面の排障器で、大きなものから小石まで弾き飛ばす構造でした。


100系も同様です。





横から見ても0系と100系は、とにかく障害物は弾き飛ばす構造であることがよくわかります。
あと、0系は積雪50センチくらいまでは雪をラッセルする効果も狙ったらしいけれど、現実は車体下部に付着する雪のために、ラッセルはできても高速運転はできなかったというオチでした。



300系からはデザインは変わったけれど、思想は同じだと思います。





それが500系から先頭部の設計思想はまったく変わったようです。
500系の写真はあまり手持ちがありません。これは最終運行日の京都駅でのカット。


現役の700系です。




500系からはレール踏面すれすれの排障器も、頑丈なスカートもありません。
線路面に障害物があっても、弾き飛ばさずに下部に巻き込んでしまうのではないかと思わせる構造です。

いちおう、700系の下部の奥深いところにこんなものがあります。


 でもこれは障害物を排除するものではなく、なんらかの空気の整流効果を狙ったようなもののような感じです。騒音対策的なものとして。


 新幹線が開業してから33年後の、1996年に500系がデビューしたらしい。0系時代からのあのごっつい正面のスカートが障害物を弾き飛ばして事故を防いだという事例がなかったから、500系以降はあのような構造となったのだろうか。
 もちろん、騒音対策としての空気力学上の整流効果を求めた構造というのが一番の目的だろう。
 
 人が入る可能性が高いのはやっぱり駅であろうから、新幹線が人をはねて弾き飛ばしたら、ホームで待つ乗客にはねた体が飛んできて二次災害を起こす可能性も否定できないだろう。
 だから、300系までの跳ね飛ばす思想から、はねたら飛ばさず下部に巻き込むようになったのかなと、邪推しています。

 JRは新幹線700系などのあの先頭形状は空気力学上の騒音対策であるというけれど、そんな効果も実は想定しているのではないかなと。
 絶対に言わないだろうけれど。

  

Posted by よっぱらいくま at 16:48Comments(0)TrackBack(0)新幹線