2023年01月29日

この前の寒波 JR西の対応

先週の寒波(あえて大雪とは書かない)での、京都周辺の東海道本線(あえて琵琶湖線、京都線とは書かない)での多数の電車の立ち往生。車内に缶詰にされた乗客は本当に大変だったと思う。
JR西の現場の職員は苦労したと思うが、何時間も電車を止めた上に多数の乗客を車内に閉じ込め続けさせた判断は、完全に間違っている。
トイレがある221、223、225系なら百歩譲って許せても、トイレのないロングシートの207系なんかも乗客を缶詰にしていた。まして立ち客も多数いるなかである。健常者でも耐えられそうもない状況だ。

線路を歩かせるのは危険だという意見は一理あるが、長時間車内に缶詰にされる方がよっぽど命の危険がある状況ではないか。
まずは、何が何でも電車を最寄りの駅まで動かすことができないのだろうか。
凍結によるポイント故障だと言い訳しているようだが、ポイントが動かなくても前後には電車は動かせるだろう。時速5キロ程度でATSなど切ってゆっくり動かして、昔の代用閉塞的な運用でホームに着ければ良い。ホームに別の電車が止まっていて詰まっているのなら、その電車をホーム編成半分分移動させて、途中駅に停車してしまった電車の編成半分をホームに着けて乗客を降ろすとか発想できないのだろうか。危険だとか、規則でできないとかはすべて言い訳である。乗客の命の安全のためにも、できることはやるべきである。何時間も水もトイレも自由に使えない車内に何千人もの乗客を閉じ込める方が明らかに非人道的である。
何時間も車内に閉じ込めたあげく、結局最後は線路を歩かせていたではないか。

ポイントの凍結も、降雪予報が8センチだったから、規則では10センチ以上から作動させる決まりだから融雪装置を作動させなかったなどと、子供の言い訳レベルである。そもそも「融雪装置」ってなんだ。雪国では標準装備の電気融雪器のことか。それだったら、凍結したら即スイッチを入れるだけのことだろうが。昔からおなじみのポイント下に置くカンテラのことを言っているのなら、「融雪装置」なんて大層な装置みたいな言い方するな。カンテラをポイント下に置いていく人員が手配出来なかっただけだろう。降雪予報が8センチだったから、急激に降雪があって気温が降下しても人員のやりくりもできず、手も足も出なかったというとこが事実なんでは。

ダイヤの乱れを自動修正することにも不具合があったとか。
今はすべてコンピュータ、自動制御任せだから、超低速で人の判断だけで電車を動かすこともできないのだろう。
AIだとかITだとかが時代の先端、すべてがそういうことに任せることができるようになるとかいう風潮だけど、カンテラをポイントの下に置くのも、雪かきするのも、現地でポイントを補修するのも、結局は人の手に頼ることになるのだ。AIにすべて置き換わるなんて戯言である。

JRに限らず、現代の組織、役所も会社もすべて、平時に仕事をまわせるだけの最低限の人員しかいないから、災害時にはすべて機能不全、ストップして思考停止に陥るのだろう。
余力というものを現代はすべて、「無駄」という言葉で削減してきた結果だろう。ここのところ躍進している関西系の政党がいつも言ってやってきたことの結果なのだ。

乗客もインタビューなんかでも、災害だからJRを責められないなんてやさしいことを言っている人もいたけれど、完全に人災だし、JRの対応は非人道的だったとしか私は思わない。
車内から救急車を呼んで運ばれる人が出た時点で、JRの対応は完全な大間違いなのに、社長だかなんだかの会見で「今回の対応に問題がなかったか精査したい」みたいな寝ぼけたことを言っていたけれど、精査するまでもなく、完全に「間違い、大失態」でしたから。逃げ道を作るために、多数の問題があったと最初から言わないのが役所、役人、政治家たちの常套手段である。そして、間違いがあってもこう言う。「間違っていたのではなく、やり方考え方を変える」と。
所詮、大JR様は完全に硬直化している役所、そして上層部は自らの責任で判断できない、木っ端役人であることを証明させたようなもんだ。

しかし、たかが十数センチの降雪で鉄道が機能不全に陥ることが、一番問題である。本来、鉄道はクルマに比べて雪に強い交通機関のはずだった。地方の小鉄道会社などは小回りが利くのか、システムが単純なのか、雪が多少降っても平気なことが多い。それは大手私鉄でも言える。JRが早々とストップしたり計画運休を決め込んでも、大雪の早朝から私鉄は平常運行しているなんてことがままあるではないか。
今回も、また昨日、今日も、寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」は、JR西管内の大雪予報のため計画運休である。なんて情けないことか、最初から明らかに逃げているとしか言えない。公共交通機関としての使命は完全に放棄している。

話しを変えて、新名神高速の立ち往生もひどいものだった。
立ち往生しているのがほとんどトラックだったいうのも、日本の物流はトラックが99%担っているのだと実感する。乗用車がほとんどいなかったのは、大雪予報だったからだろうし正しい判断だと思うが、物流を担うトラックが雪予報だから単純に休むなどできないのが現実なのだ。立ち往生に巻き込まれたトラック運転手は本当にお気の毒だった。
雪装備をしているトラックが1万台のうち9999台いても、たった1台が雪装備をしていないために動けなくなり大渋滞を巻き起こすのだ。そういう車両には厳罰を科すべきだと思う。それは運転手を責めるのではなく、雪装備をしていない車両を運行させる荷主や所属運送会社が責任を持つべきだと思う。トラック運転手は雪の日も台風の日でも、運転せざるを得ない立場なのだから。

JR西の対応よりも高速道路会社の方が、除雪能力や人的能力もあるのではないか、と今回は思った。
ポイントが凍結したくらいで完全麻痺するJR西は、無能と思う。
何十時間も車内に缶詰にされた電車の乗客とトラック運転手の方々には、本当にお疲れ様でしたと言いたい。


Posted by よっぱらいくま at 14:51│Comments(0)TrackBack(0)事故・災害

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