2014年10月31日

NHKクローズアップ現代 宇沢弘文特集

 NHKのクローズアップ現代で、宇沢弘文氏を取り上げていました。
 著作の「自動車の社会的費用」のことも話していました。
 間違ったことは言っていなかったけれど、内容について突っこむこともなく、自動車の社会的な影響を浅く語っただけで、自動車の社会に対するの負の部分についての説明は甘々でした。

 宇沢氏の理念である、誰もが幸福になるための経済、医療、社会インフラ、福祉などは民間の営利活動、経済活動に任せてはならないということは、うまく説明していました。まったくその通りと思いました。

 翻って、現代の日本社会はどうでしょうか。
 市場原理に任せることが正義となりつつあったアメリカ社会と決別して日本に戻ってきた宇沢氏。
 これだけ死去とともにマスコミに大々的に取り上げられる経済学者でありながら、政治や経済界でブレーンとして活躍する場面がこれまであったのでしょうか。
 効率と競争の市場原理を推進してきたのが、これまでの日本でしょう。
 小泉改革と竹中平蔵が推し進めた社会、今のアベノミクスとかいう造語も、宇沢氏の理念とは正反対といってよいはずです。
 民間を万能であるともてはやして人気を取る政治家。そして民間こそ善だとし公共サービス民営化していく役所。
 民間の活動を自由にさせるための規制緩和を善として推し進め、指定管理者制度で公営の図書館などの運営が民間任せとなり、公営の保育園なども民間に売り払う。
 新規参入、規制緩和、民営化、そういった施策が進み、身勝手な零細企業が法律に反しなければと好き勝手にやって、ツアーバスなんかの事故が起こったのではないいか。
 名古屋の河村とか、大阪の橋下も民間万能主義者だ。
 すべて、宇沢氏の理念とは正反対の者たちだ。
 そして、そういう効率と競争とコスト削減と民営化とかの風潮を手放しで歓迎するのが、なぜか宇沢氏の経済理念が実現すれば幸せになれるはずの低所得者層なのだから訳が分からない。
 小泉改革を手放しで歓迎しててきたのも、庶民であったはずだ。

 偉大な経済学者であるはずの宇沢氏は、これまでの政治や経済が進めようとしてきた勢力にとっては邪魔者だったはずです。
 しかし、死去してからマスコミでいくら取り上げられて賛美しても意味ないです。
 宇沢氏の理念が政治や経済社会の中で生かされることはないでしょう。



Posted by よっぱらいくま at 14:32│Comments(0)TrackBack(0)政治・社会

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