2014年01月29日

JR北海道のこと

JR北海道の一連の騒動もようやく方向が見えてきたようで。

新聞投書に、「未だに国鉄時代の甘い体質が・・・」などとあった。
まったくわかってないなあと思った。なんでもかんでも国鉄は悪、日本社会も官僚が悪、行政は非効率と根拠のない思いこみ、決めつけ。
国鉄時代に、今のJR北のような情けない事故がありましたか。

先日、国鉄時代末期に起きた、名古屋駅での寝台特急紀伊号へ飲酒運転機関士による機関車激突事故のことが新聞に紹介されていた。
あれは最悪。弁解の余地ゼロだった。でもそれで分割民営化は正義、というのも極めて狭い一事象だけを見た評価と思うが。
あれは完全に国鉄の息の根を止めた事件だった。分割民営化を進める輩の陰謀なのではないかと思った。
しかし、あの時代でも、保線データの改ざんとかはあり得なかったのではないか。
コスト優先で安全管理予算を削るなんて発想はなかっただろうから。職員もたくさんいたし。

今のJRは、コスト削減、人員削減、効率化、できることはなんでもやってきた。
広大な過疎地域を抱えているJR北が、国鉄時代に比べて路線距離は少なくなったとはいえ、あの広大な路線網の維持にはとてつもないコストがかかるはずだ。
JR東、海、西に比べて基礎体力もなく、どんなに努力しても鉄道事業として採算がとれるのは、正直言って札幌近郊だけだろう。
JR北がどんなに努力したって、今の路線網の維持は困難だ。
そのしわ寄せが、保線をはじめ、車両保守などの安全管理にまで及んだと思う。
だから気動車が火を噴いたり、オイル漏れとか故障ばかりとなる。
少ない人員と少ない予算で、現場はいっぱいいっぱいだったのだろう。
そんな経営環境の中だから、ATSを破壊するような輩も発生したのだろう。

JR北を擁護するつもりはない。安全に関わる業務の手抜き、偽装は公共交通機関として、絶対に許されぬことだ。
偽装に関わった現場の職員も大量処分されたが、なぜ一担当である現場の職員が偽装という手段を選んだのか。
保線作業が追いつかないという現実を経営陣に伝えることは出来なかったのか。
なんで一職員が偽装行為をするようになってしまったのか。鉄道員の誇りはなかったのか。
JR北の体質が腐ってしまっていたのか。
経営陣は知りつつも、対応しなかったのか、出来なかったのか。本当に知らなかったのか。
謎はまだまだ多い。

しかし、北海道の鉄道網を維持するには、JR北だけの独立採算では無理なのだろう。
路線網を維持して安全輸送のためには、国費、県費での助成が必要である。
クルマ、道路のために使う税金の一部を、公共交通機関であるJR北の経営安定化のためにつぎ込むしかないだろう。

企業体質が、経営努力が云々・・・、で解決する話しではない。
経営陣をはじめ、職員、人のせいだけにして、人事の刷新なんかだけで解決する問題ではない。
要は「金」だ。要は「人」だなどと言うことは世迷いごとだ。
北海道に関しては、インフラ部分、施設の所有・保守を公営、営業をJR北と分けるような上下分離方式も検証すべきだ。
JR北の営業努力だけで、北海道の路線網の維持は無理だということだ。

国鉄分割民営化の弊害が出てきた今の状況を、「国鉄時代の甘い体質」などと非難するなどナンセンスの極みだ。
本質がまるで見えていないとしか言えない。

NHK会長の発言問題、原発問題にしてもマスコミの取り上げ方は、なんて浅はかなんだろうと思う。


 都知事選で、細川がボロ負けしても、中日新聞は脱原発の民意は多かったと負け惜しみをほざいている。
 理想だけで国民の生活は守れないという冷静な民意に対して、一部のマスコミはいつまで世迷いごとを言い続けるのだろか。  

Posted by よっぱらいくま at 21:36Comments(0)TrackBack(0)政治・社会