2013年10月20日

避難勧告

 伊豆大島で大災害が。
 報道は、避難勧告等が出なかったことに対する行政の対応を問題視するという、マスコミの定石ともいえる手法を展開している。
 
 台風でどれだけ雨が降るか、局地的な数値を正確に予測することは気象庁でも難しいだろう。
 今回、伊豆大島周辺だけ局地的に大雨が降り続いたようだ。

 町長や副町長が出張していたことなど、なんら批判されるべきことではない。いちいち大雨の度に出張などをやめるなど現実的でもない。
 これまで伊豆大島では、台風に何度も晒されても今回のような大災害はなかったのだから。まさしく想定外の災害だ。行政の対応を非難できるわけがない。

 今回の騒動で、昨日からの大雨でも避難勧告を出したということだ。たしかに地盤は緩みきっているだろうから、二次災害の可能性は高いといえる。でもどうなんだろうか、最初だけではという気も・・・

 こういうふうになると、少しでも危険性があったら、とにかくなんでも避難勧告を出すみたいな風潮にならないか。とりあえず勧告を出してておけば、なにかあったときの言い訳、責任逃れの道を作るみたいな。
 そうやって、行政がとにかく何でも避難勧告を出すことになれば住民は、「また勧告が出ている」くらいの認識になっていく、狼少年状態になって、本当に危機が迫っている事態になっても住民が「勧告慣れ」してしまうことを危惧する。

 名古屋市も東海豪雨のあとからは、台風やちょっとの大雨警報でもそのたびに「避難勧告」だの「避難準備情報」などを乱発している。それも市内全域、全住民二百何十万人を対象にとかだから、現実にいったいそれだけの人間がどこに避難しろと言いたいのかわからない。東海豪雨みたいに行政批判にならないよう責任逃れをしているとしか思えない。避難勧告を乱発していると、本当に伊勢湾台風クラスの台風が直撃しそうになっても、避難勧告の効果が薄れると思う。
 現実には毎回、避難所に避難したのは名古屋市全体で数世帯十何人とかというのが実態だ。ほぼ100%の人間が避難などしないというのが現実となっている。まあ、住民、市民の方が冷静に判断しているということだろう。

 今回の台風26号では、愛知県田原市がいち早く全市民6万人あまりに避難準備情報だか避難勧告だか忘れたけど、そうういうことをやった。
 たしかに強風も吹いたが、新聞によると現実には農業用ハウスが一件、吹き飛んだだけだった。ビニールハウスなどの軽微な被害はもっとあっただろうが。
 そして、全市民に避難を警告したが、実際に避難したのは、たしか9世帯11人だけだった。
 行政が出す避難情報があまりにも軽すぎて、本当に危機が迫っていたときに市民がどう情報をとらえるか心配だ。

 今回の伊豆大島の件で、行政の対応をマスコミが攻撃すればするほど、これからはなんともない状況でも行政が避難勧告等を乱発するようにならないかという発想は出ないのだろうか。
 大島の件は、もっと早く避難勧告を出していたら結果として正解だったのだろうけれど、空振りしていた可能性もあったのだ。あの大雨を前日中に明るいうちに予測するなど不可能だろう。深夜に避難勧告を出す方が危険という理屈ももっともだ。あの状況ならそれでも避難指示しているべきというのももっともだ。どちらも正論だし、誰も悪くない。
 日本という国は、マスコミが騒ぐと、右だったものが極端に左に向かみたいな体質があるので、 マスコミや小心者の行政に振り回されずに、自己責任で冷静かつ的確な判断をしていくしかないのではないか。
 事件や事故でも、とにかく誰かを悪者に仕立てあげたがるのがマスコミだから。


Posted by よっぱらいくま at 09:24│Comments(0)TrackBack(0)政治・社会

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