2013年08月27日

旧型客車 名古屋市へ譲渡?

 河村たかし市長が、JR東海が保有する旧客をSL運行に使いたいから引き取りたいとの意向らしい。
 今朝の新聞の一面に載っている。

 JR東海の旧型客車は、私が記憶する限りでは、2000年頃、美濃太田に留置されているのを確認している。
 今はどこにあるのだろうか。美濃太田に置いたままなのか。
 最近、新幹線の車窓から浜松に置いてあるのを見たような気もするが、幻か。

 河村が保存に熱心になってくれる心意気は、ありがたいことだ。
 JR東海が今年、解体予定だったなんて、知らなかった。
 解体なんて絶対しないで、活用策を考えてほしい。

 JR東海は、今はSLを運行する能力は持っていないだろう。旧客を保存する気もないのだろうか。
 別にSL関連でなくて良いのだから、旧客は保存してほしい。 
 JR東は熱心に各地でSL運転をしているし、JR西も梅小路を持っているし、山口線や北陸本線でもSL運転をしているので、この2社はSLの運行能力を保持し続けているのだ。
 
 しかし、名古屋市が受け取るには、ちょっと無理があると思う。名古屋市が仮に譲渡を受けても将来性がない気がする。
 
 河村のSL構想は、あまりにも素人レベルであるし、名古屋市が本気で取り組んでいるようにも見えない。
 仮にあおなみ線にSL列車を定期的に運行しても、集客レベルが保てるか疑問がある。
 あおなみ線はほとんど高架区間で、おもしろみに欠けるし、試験運行の終点だった貨物ターミナル止まりでは距離も短すぎる。
 金城ふ頭まで運行して、リニア鉄道館と直結させたら価値もあるが。

 この旧客を引き渡すには、アスベストの問題とか、車体も台車も朽ち果てているので、補修に1億円かかるとか。
 私がJR東海のこの客車に最後に乗ったのは、飯田線のレトロ列車とかいう企画でEF58牽引で名古屋から中部天竜まで走ったときだと記憶する。
 たしか、平成3、4年頃で、豊橋駅も旧駅舎だった。
 現代で運行するには、垂れ流しのトイレとか手動ドアとか、どう改修するのかも難しいだろう。
 新造よりも歴史的価値を認めて補修したいという考えには賛同する。
 ちなみに新聞に、「冷暖房のパイプ部分に云々」と書いてあったが、もちろん旧客に冷房はなかった。
 暖房用の蒸気管のことだ。昔の客車は、機関車のSGから供給される蒸気で車内を暖房していた。
 パイプの断熱材にアスベストを使用していたのだろう。
 あの暖房は電気に比べて、体に優しいものだった。
 今でいうオイルヒーターみたいなもので、足下からじんわりと暖まり、心地よかった。
 冬の朝一番の旧客に乗ると、機関車から蒸気が供給され始めると、「カキーン、コーン」と蒸気管が膨張して発する独特の音がして、少しずつ車内が暖かくなったものだ。

 SGが必要なのは電気、ディーゼル機関車で、蒸気機関車は当然、動力用の蒸気の一部を供給していた。
 旧客でも、近代化改造で蒸気暖房に電気暖房を併設する車両もたくさんあった。電暖対応車両は車体番号が1000番台になった。
 電暖対応は、それに電気を供給する側、機関車も電暖対応である必要があった。東日本、北陸、東北が電暖化が進んだ気がする。
 山陰、九州が最後まで蒸気暖房だった気がする。
 蒸気暖房客車を牽引する機関車は、当然、SG搭載車に限られていた。DD51やEF58など、SG搭載が前提だった。
 EF58の車体長が長くなったのも、SG搭載のためだ。

 旧客から20系以降の新造客車は、電源車を備える固定編成化が一般的となり、機関車から暖房の電気や蒸気の供給を受ける必要性はなくなった。
 12系、14系、24系と、電源分散か集中かの違いはあれど、客車自体で冷暖房の電気を賄うようになった。
 
 JR東海も金城ふ頭に作ったリニア鉄道館には力を入れているが、新幹線ばかりに力を入れないで、ここでこそ、この旧型客車を保存すれば良いではないか。
 本来は、JR東海の手で整備して、さまざまな企画列車として運行することが、旧客の未来にとって最善だと思う。
 せっかく今まで保存してきた旧客を解体するなんて、なんてもったいないことだろうか。日本の鉄道文化遺産だと思う。
 解体されるよりも、名古屋市が引き取ってくれるのもマシではあると思うが、長期的に見て名古屋市に未来永劫、旧客の運行、動態保存を期待するのは無理があると思う。

 頼む、JR東海さん、自身の力で、旧客の動態保存をしてくれ。そして、企画列車として定期運行してくれ。
 飯田線の秘境駅ツアーなんかに使ったら最高でしょう。
  

Posted by よっぱらいくま at 21:19Comments(3)TrackBack(0)名古屋市