2015年12月20日

手荷物・小荷物

鉄道関係の本を読んでいて、昔の手荷物と小荷物の話しがありました。
駅には小荷物の専用窓口があり、無愛想な駅員が荷物の預かりや受け取りを対応していました。
窓口の中には無骨な天秤ばかりがあり、重しを調整して荷物の重量を計っていました。
専用の荷札に行き先などを記入して、箱には厳重に、がんじがらめに荒縄などで縛り付けました。
こんなにがちがちに箱に縄を縛る父親の姿に、すごいなと思ったものです。

駅で集荷された小荷物は、専用の荷物列車に載せられたり、旅客列車に連結された荷物車に積まれたり、旅客車の一部を締め切ったスペースに積まれたりしたものです。

私が小学生のとき(昭和40年代後半)、この年末シーズンには定例で佐賀の父親の実家から餅とみかんが鉄道小荷物で送られてきました.。
この時代は宅配便というものは存在しませんでした。
荷物の類はすべて、鉄道だけが頼りでした。
しかし、そのサービスは今の宅配便サービスと比べたら天と地の差があります。
荷物は原則、駅で預け駅に取りに行かねばなりません。
我が家にはクルマなんか当然ありませんので、バスに乗って京浜東北線の大森駅へ取りにいきました。
大森駅にも、手荷物小荷物の専用窓口がありました。
そこで、無愛想を通り越した命令口調の職員から平身低頭に、荷物を親が受け取っていたように記憶します。
そして、みかんと餅が入ったくそ重い荷物を持ってバスに乗って帰ったのです。
なんて不便な時代だったことでしょうかね。でも、それが当たり前な時代でした。
今となっては懐かしい思い出だけど。
荷物が着く日時など確定してなくて、父の実家から「送ったぞ」と電話があって、何日かたってから駅から電話があり、取りにいくようなシステムだったかなと記憶します。

さきほど書いたけれど、荷物の箱は丈夫なものでかつ縄で厳重にこれでもかと縛り付けています。
しかしそれでも、着いた荷物の箱はボロボロで、時には中身が見えているようなこともありました。
それはなぜか。
それは、箱を縄で縛るのは、取り扱う職員が荷物を持ち上げるために必須だから。
縄や紐で縛っていなければ受け付けてもらえません。
その縄を持ってつかんで持ち上げられた荷物は、窓口から台車、そして荷物車へ、荷物車内で置き場所へ、また荷物車から台車へ、そして窓口へ。列車間の乗り換えもあったことでしょう。
その一連の作業は乱暴でした。
荷物は基本、投げ渡し。そのためにも縄は必須なんです。
そして、何度も投げられ飛ばされて、受け取り時には箱は本当にボロボロでした。

アマゾンをはじめ、通販の普及も宅配便の普及のおかげです。
昔を考えるとウソのようです。
荷物は、日時指定までできて、しかも迅速丁寧。

クロネコヤマトの宅急便などが急速に普及し、鉄道小荷物は消えました。
しかし、今でも宅配便の荷物はコンテナに載せられて、鉄道で移動しています。

  

Posted by よっぱらいくま at 16:49Comments(1)TrackBack(0)駅と歴史